カサンドラ症候群

実はパートナー(配偶者)も苦しんでいる

医学用語ではありませんが、カサンドラ症候群という心身の不調状態を指す用語があります。

これは、発達障害者の伴侶をもつ“パートナー側”(配偶者)に引き起こされる精神的、身体的な諸症状や変化を指すものです。

  • 伴侶が、自分のことを大切にしてくれてないと思えてしまう
  • 伴侶が何を考えているのか分からない
  • 感情交流(表現)が乏しい
  • コミュニケーションが上手くいかないのは“自分のせいかも…“と自信を失っている
  • この先の“どうやっていったらいいか”わからない
  • 眠れない、落ち込む、月経前の不調、家に帰りたくない、食欲不振(過剰)や体重増減
  • 伴侶の事(言葉)が正直、怖く感じる
  • このつらさを分かってもらえない…、周りに信じてもらえない

カサンドラ症候群

元々は、ギリシャ神話の王女(カサンドラ)を語源としており、カサンドラの特殊能力(予知能力)について『誰にも信じてもらえない』の苦しみを表す用語として紹介されます。

発達障害をもつ伴侶とのコミュニケーションは、情緒的な交わり合いに困難が生じやすくなります。

例えば、定型発達の人には容易に伝わる会話でも、「伝わらない」「理屈っぽく返される」「気持ちを汲んでもらえない」「口論になる」などなど…。

こうしたコミュニケーションが繰り返されるうちに、伴侶との交流に自信を持てなかったり、またそのつらさを友人らに打ち明けても、「どの夫婦にもそれくらいある」「働いてくれているんだからマシだよ」「じゃあ別れればいいじゃん」…などと十分に理解されず、ひとり苦しんでいる状況のことを、カサンドラ症候群と言います。

発達の特性を理解することがコツ

こうしたカサンドラ症候群を改善するためのコツは、はやり『発達の特性を理解する』ことが鍵となります。

※パートナー側に心の病気があったり、家庭内DV、離婚や別れることをすでに決めている場合は、その状況改善や対策を立てる事から支援を進めていきます。

カサンドラ症候群の改善を図っていくためには、問題となる交流場面の背景に「発達の特性」があるかもしれないとの理解を深めていきます。

  • 感情交流がしづらい背景には、元々、気持ちをキャッチしたり、言葉で表現し合うことの苦手さ(その必要性が分からない)があるかもしれません(アレキシサイミア傾向を含む)。
  • 情報伝達以外のコミュニケーションスタイルが分からないために(愛情を深めるための会話、話すこと自体が目的となる会話など)、一方的な話ばかりをして終えてしまう、“自分に用のある時しか”交わってくれない、同じ話ばかり(不平や栄光話)を聞かされる。
  • 感覚の凸凹(過敏、鈍感)があるために、スキンシップを嫌がったり、人混みのある場へのデートや外出などを嫌がったり、癖のある性行為を要求されたりする(ルールや前戯にこだわりがある、自分だけ楽しむなど)。
  • 話しの流れ(全体像)をキャッチしづらいため、会話の中身よりも“形式面”に反応して文句を言われてしまう(話し方や声のトーン、スピード、言葉尻など)。
  • 問題(点と点)の関連性が想像しづらいために、極端な考え方や結論に走られてしまう(「もう別れる、縁を切る」「だったら何もしない」「何をやってもムダだ」など)。
  • 過去のトラウマ体験(バカにされた経験)に対する敏感さがあるために(記憶が鮮明に保持されてしまうために)、“傷つけられた”“攻撃された”“バカにされた”と思われてしまう(緊迫した雰囲気が続く)。

もし、こうした状況に心当たりがあり、まだ発達障害の診断を専門医(精神科)に相談されていない場合は、一度、当相談室へご連絡ください。

発達障害のスクリーニング検査やお二人のストレス状況なども含めて理解させていただき、ムリのない支援案を提案させていただきます(精神科の先生との連携協働も致します)。

発達障害の診断がある方

一方、発達障害の診断がすでにある方で、上述のような状況に悩んでいるパートナーさんには、いくつかの対策例を試していただければと思います。

  • 会話の始まりには、まず目的(ゴール)を先に伝えてみましょう(“実は~してほしいから言うんだけど” “~のための話しなんだけどね”)。
  • 予定や決めごとをする際は、相手の合意(意見)を出来る限り尋ねておきましょう(“~しようと思うんだけど、何か意見はある?問題はある?”)。
  • 予定事は先に共有しておきましょう(“今夜は○○を一緒にやりたいから時間を作っておいてね、○○分くらいで終えると思うから” “○○時ごろあなたは何をする予定?”)。
  • 相手のその日の調子(不調さ)を数量スケールで共有してみましょう(最悪=10点~全く問題ない=1点、このうち、“不調”の許容範囲ラインは〇点以下(これ以上の点数は“一人の時間がほしい”)、 夫婦で時間を一緒に過ごせるための余力点は〇点以下など)。

 

カップルカウンセリング

以上の工夫をもっと本格的に取り入れてみたいという方は、当相談室のカップルカウンセリングをご利用ください。

カップルカウンセリングでは、上述の対策のほかにも、夫婦間の交流(関係性)改善を目指した、語り合いの時間をお手伝いします。

  • 夫(妻)の“あの言動”の意味(真意)を知りたい。
  • 自分の中の心配や不安を伴侶に分かってもらいたい。
  • 伴侶の“発達の特性”についてもっと理解したい。
  • 発達の特性が夫婦関係にどう影響するかを整理したい。
  • 日常で出来る対策を知りたい。

尚、お二人でのご来室が難しい場合は、お1人でのご来室も承ります。

どうぞ、ご検討ください。

関連記事

  1. 子供の問題行動をどう捉えたらいい?

PAGE TOP