理解できない不調の背景にはトラウマの影響がある
病院でうつや適応障害、不安症の診断を受けて、ちゃんと薬を飲んでいるのに改善せず、悩み続けてしまう…。
それどころか、周りの声(音)や人混みに敏感になったり、理由もなく落ち込んだり、イライラしたり、身体検査では”問題なし”と言われるけど、耐えがたい体内の感覚につきまとわれていたりしませんか?
ひょっとしたら、それらは、トラウマ症状(ショック後の反応)かもしれません。
- 神経や感覚の昂り(過覚醒)=睡眠問題、感覚過敏、ハイテンション、注意散漫や集中困難など)
- フラッシュバック=困難記憶の映像や感情が嵐のように襲ってきてその処理に苦しむ(心臓の激しい鼓動、胸がつぶれるような感じ、手足が冷たくなる、震える、体が凍りつく、はらわたがよじれるような感じほか)、悪夢をみるなど
- 回避=困難記憶を思い出させる場所や人を避けたり、感覚がマヒするなど
- 負の認知傾向=自他に関するネガティブな考えとその調整困難
※4つのトラウマ症状(ショック後の反応)
トラウマ症状は、”心のケガ”と表現されるように、ケガの”手当”を必要とする問題です。うつや不安症のケアとは異なり、身体の深部に残される衝撃(ショック)の解放や保護、癒しを必要とする心身の症状です。
ショック後に適切に対処すれば、その影響を限りなく小さく抑えられますが、長時間を経っても症状が続く場合には、心のケガ(トラウマ)の影響と心身状況をみて、”安全に進める”ための理解と態度が何より重要となります(これを『トラウマ・インフォームド・ケア』と呼び、”再トラウマ化”の予防に配慮した態度が重要視されます)。
同じ病名でもトラウマの有無では重要点が異なる
トラウマを負った人の治療や支援では、たとえ、同じ診断名を受けた人でも(うつ病、適応障害、不安症、双極性障害、パーソナリティ障害など)、トラウマ体験の持たない方とは、似て非なる理解と態度を必要とします。
- 安全対策は大原則。
- トラウマ体験を語ること、吐き出すことの効果を過大評価しない(負担や侵襲性にも配慮する)。
- トラウマ体験の事実を認めて、否定しない、一般論(価値)を押し付けない。
- トラウマの影響に未だ染まってない健全な心身機能(強み、リソース)があることにも注目する。
- トラウマの身体(脳)に与える影響、身体(脳)の持つ治癒力・回復力への理解。
- 心身の機能状況によっては、積極的な治療や支援の開始を”保留にする”判断も重要。
※トラウマケアにおける当相談室の基本原則
当相談室では、トラウマの影響を踏まえた安全な心理ケアを提供します。
”否定せずに、私のつらさを『分かって欲しい、認めて欲しい』『心のケガの手当を教えて欲しい』”という方は、ご連絡をお待ちします。