職場改善に向けた工夫として、『一点集中型パフォーマンス』という心の使い方があります。
これは、マインドフルネを日常生活に応用するための心の使い方で、今やっている事に”集中する”、”その事にだけ意識を使う”という、シンプルなものです。
それを実践する工夫(アイディア)として、以下のようなものがあります。
- ミーティングは、小さなものでも、その議題と目的、時間を明確にしてから始める。
- ミーティング中は、本題から外れた話しをメモ(ホワイトボード)に残し、後回しにする(今は本題に時間を使う)。
- 電話番は時間を決めてルーティンで回す(その人に任せる)。
- 話しかけるときは、相手の注意が向くのを待ってあげる。
- 完璧に仕上げたい業務がある時は、その時間を決めて、「○○時までは他の事を待ってもらう」を職場内で共有する。
- リーダーは、今やるべきことをチーム内に示してあげる(今は○○に集中するぞ、他はその後だ)。
- 相手の話にはまず、あなたが一点集中する。
これらは、職場の「一点集中力」を促す工夫であり、社員それぞれのパフォーマンスを最大化、最適化するのに役立つ工夫です。
一点集中はその人の力を引き出す
今やっている事にだけ意識を使えるとき、私たちのパフォーマンスは最大化、最適化する-といわれます。
このパフォーマンスは、その人のあらゆる能力を表します(業務スピード、ていねいさや正確さ、想像力、ストレスの感じ方などなど)。
別の言い方をすると、どれほど優れた能力があっても、目の前の事に集中できていない職場環境であれば、その実力を出し切ることはできません。
成功する人に共通するのは、ひたすら一つの事に集中しているという点である。
彼らは、自分にとって一番重要な事だけに力を集中し、
それが終わるまで他のことは、一切手を出さない。ピーター・ドラッガー、オーストリア経営学者、社会学者
とてもシンプルな原理ですが、特に忙しい職場なほど(電話や接客が頻回する、業務量が多い、高度な対応を求められる業務など)、こうしたチーム力が成果(違い)を生むのです。
一点集中型パフォーマンスのコツ
- 今やっていることにだけ意識を使う(同時に2つの事をやらない)。
- 別の事が入って来ても、その作業を終えるまでは始めない、手を出さない、考え続けない。
- 優先順位を決めて、一点集中する。
理想的なリーダーシップの取り方も同じです。
理想的なリーダーシップは、社員の集中力を引き出すことができる人、邪魔しない配慮のできる力です(一点集中型パフォーマンスの観点から)。
社員が目の前の業務に集中できるとき、自然とその社員のパフォーマンスは最大化し、やる気が上がり、質の高い社員同士の交流が生まれ、そしてストレスが低くなります。
その逆に、ミスが増える…、スピードが落ちる…、疲れ抜けない…などの不調がみられる社員さんに対しては、集中力の状況(集中力を邪魔する要因)を、一緒に考えてあげるとよいでしょう。
もし、ストレスチェック業務が行われる事業所であれば、集団分析結果と併せて現場の集中力の発揮状況をチェックすると、いろんな改善点が見えてくるでしょう。
集中力の観点から職場を眺めると、そこで働く個人や組織全体の健康状況もみえて来ます。
その視点は、生産力や会社離れ(離職者)の問題はもちろん、うつや不調者を未然に防ぐ具体的な戦略(武器)にもなるのです。
どうぞお使いください。